認知科学研究所(デジタルハリウッド大学)

認知科学研究所の関係するマスコミ関連記事のご紹介です。


匠英一の新刊書の紹介

マスコミ関連記事

≪匠英一著『ど素人でもわかる心理学の本』(翔泳社)の紹介≫

■演習問題の回答(p102)より

まず先に本著の演習問題の回答を載せておきます。この9つのマス目の「●」点を一筆書きの直線で結べるようにする課題でした。下記がその一つのケース(いくつか回答パターンがある)です。

演習問題の回答(p102)より

■心理学がブームになっている理由とは?

SNSやAIの登場で今や高度な学問もいつどこでもその知識に接する機会が持てるようになりました。大学に行かなくとも、これほど“知”が豊かな時代はなかったものです。その意味で知が身近になってきたことはいいことですが、どうも心理学はうさん臭さや神秘的な見方が抜けきれない面があるようです。

その原因には心理学そのものが科学というより哲学に近い面があること。たとえば、フロイトと対立したアドラーの「嫌われる勇気」といった説は、数年前にTVドラマにも登場しブームになりました。また、もう一つはグロオーバル時代の現在、「文化の多様性」という要因を考慮する必要性が高まってきたことです。西欧と東洋の自己の幸福感の違いはその典型ですが、文化は自分をどう理解しているかに影響して行動も大きく変わってくるからです。

本書はこうした心理学の誤解を心理学の理論の全体像から意味づけ、日常の中で活かすポイントを解説していきます。そのため、入門書という面はあるものの、内容自体は心理学の資格取得をめざす学生やプロにも通用するものです。

■心理学の“専門家”という誤解

たとえば、“メンタリスト”と呼ばれてマスコミでも話題になった人がいました。ところが、昨年にとんでもない差別発言で人気急降下となり、今や新刊書も出せないようです。この落差に私が驚くのは、多くの人がメンタリストは心理学の専門家だと思っていたことです。マジック的な演出で一躍注目を浴びたことで人気が出たのはわかりますが、彼の経歴は心理学とは何の関係もない工学系のものでした。独学で得た雑多な知識はあるにしろ、専門性があると言えるようなものではありません。

ここには心理学の誤解が何かが、よく表れています。この解説の続きは本著「ど素人でもわかる心理学の本」に譲りますが、要は数多くの心理実験の解釈は、結果だけが大事なのではないことです。むしろ背景となる原理を知っておかないと、その実験自体も歪んだ解釈になってしまうからです。

たとえば、実験の解説でよくあるパターンは、「〇〇の教授が〇〇実験をして△△の仮説が検証されたことから、〇〇だと結論づけられる」です。ところが、同じ内容がビジネス書になると「〇〇の教授が〇〇実験をして〇〇だと結論づけられた」と省略型になってしまいます。本当に重要なのは省略された「△△の仮説が検証された」なのに、それの解説はほとんどないのです。つまり、自分の都合のいい実験の部分や結果だけを示して、専門性をアピールするパターンだといえます。メンタリストは人気獲得に気をとられて、この本質的なことがわかっていなかったのです。

本著はこうした心理学の専門性への誤解を払拭し、より本質的な心理の働きを学べるようにしています。わかりやすい図もたくさんありますが、まずは心理学のキー概念を理解できるように構成しています。

より深めたい方は、お勧めの匠著をあげておきますので参考にしてください。また、もっと仕事や資格取得にも活かしたいと思う方は「ビジネス心理検定センター」をご参照いただければ幸いです。

  1. 『認知科学:最強の心理学』(高橋書店)
  2. 『ビジネス心理』(経団連出版)
  3. 『行動心理学:なぜ、あの人は予測を裏切るのか』(青春出版社)
  4. 『ビジネス心理検定試験公式テキスト』(第1巻〜3巻)(中央経済社)