認知科学による動画マーケティング(2)

▼経験デザインを演劇型マーケティングでどう活かすか
 ここでの「演劇型マーケティング」は、観客は受け身の視聴者だけではなく、その劇の中でアクターの役割も担う点に特徴があり「観客参加型演劇」といえるものです。
 先の4つの軸は、次のように演劇的なコトバと関連させることができます。
 時間軸⇒タイムライン
 空間軸⇒舞台設定
 媒体軸⇒舞台道具
 関係軸⇒キャスティング
 目的軸⇒劇のねらいとするもの
また、演劇では次のような用語が関係してきます。
 裏方・表方=舞台進行の裏で働く者が裏方であり、舞台の役者を中心として観客の前で演じるものが表方。
 裏方と表方のコミュニケーションが重要です。相互の連携が取れてこそ、観客へのパフォーマンスを最良のものにできるからです。これは企業であれば、営業と技術部門の連携のような問題に関係するものです。
 WEB上を舞台とみなせば、WEBマスターは裏方であり、表方はメッセージを直接記入する広報部の担当者といったことになります。ただし、その担当が個人名ではなく、ローソンの「あきこちゃん」のようにキャラクターを利用して顔を見せたとすれば、どうでしょうか。キャラクターは企業ブランドを代表するわけではなく、そのWEB上の舞台でのアクターであり、観客(視聴者)とのコミュニケーションを容易にして親しみあるものにする“仮面”のようなものだといえます。
 舞台ではどんな仮面でも付けることはできますが、そのブランドイメージやその舞台でのふさわしい役割に合わせた仮面を付ける必要があります。キャラクターとはそのような役割設定のための道具であり、コミュニケーションを方向づけ制約するものなのです。
 企業サイト上の各ページは、それぞれのテーマを持つ演劇の舞台とみなすことができます。演劇型マーケティングでは、それらのWEB上のページ内でふさわしいアクターがどう振る舞うか、その観客(視聴者)がどうそれを感じ鑑賞するかが問われるわけです。
 そして、そして幕引きや時間変化の中でのシーン転換があり、その各シーンの中でアクターがどう振る舞い、変化するのかが観客側の関心となります。あるシーンの場面によっては、自らその劇中に参加し、アクターとして演じることもあるようにするわけですが、以下、具体的に検討してみましょう。