「直感」による認識

“直感“の心理とは?

直感は神秘的なものではないので分類してみましょう!
直感や第六感というと神秘的な力のように思うかもしれません。ですが、人の五感とは別にあるのではなく、その相互作用でトータルなものとして発生するものです。なにか忙しいときのほうが企画が出たりするのも、追い込まれたために脳が活性化されていると考えられます。そこで、ひっしゃ私は直感を次のように5つの特徴に整理して定義しなおしました。この分類は雑誌プレジデントにも特集に取りあげられ紹介されたものです。

①「直鑑」=名画の鑑賞眼等
②「直観」=長期的な見通しや観察による展望等
③「直勘」=技術者の発明・技能の閃き等
④「直喚」=緊急の危険本能等
⑤「直感」=感情の機微の察知等

①の「直鑑」は、絵や音楽など芸術的な作成を観察・聴いたりするときに、それが善い作品であることが瞬間的にわかるような場合です。 プロになればそうした芸術的な鑑賞眼を持つ力があると思われますが、それを人に説明するのは難しいものです。 なぜ善いのかは感じ取るしかない、といった世界かもしれません。
②の「直観」は優れた経営者のような長期的なビジョンや展望を持ち、戦略的な発想ができるといった場合です。これは未来を予測する観察眼と多様な観点からの知識が組み合わさったものと考えられます。
③の「直勘」は、技術者などの発明や技能の閃きに関するものです。アイデアを温める期間があって、つねに問題を解決するために考え、それがあるときふとリラックスした瞬間に一気に解決する。そんなときに働くものといえるでしょう。
④の「直喚」は危険を喚起とするというリスク意識、つまり、危ないと感じるときの第六感のようなことです。ナマズが地震の前兆のようなときに騒ぐといったことは昔から言われていますが、そうした危険を察知するような直感です。
⑤の「直感」は浮気を見抜く女性の感のようなことです。感情のわずかな動きを感知して、どんな変化の原因があるのかを推測する力といったところでしょう。この直感は明らかに女性のようが男性より優位にあるということは確かです。

 

■直感の心理をニーズ調査に応用する方法

実は直感といった内容はニーズ調査でも重視されるようになってきています。その典型的な理論と実践で知られるのがジェラルド・ザルトマンの「ZMET法」と呼ばれるものです。これは潜在的なニーズを認知科学と脳科学の成果から開発したもので、ハーバード大学の心脳研究所の調査方法ですので、少し紹介しましょう。

この手法は無意識を対象として初めてマーケティング調査にメタファー(比喩的)の認知科学を応用して成功したものです。従来から、革新的な商品コンセプトはニーズ調査からは生まれないとよくいわれます。これは「ウォークマン」や「写るんです」などはそのとおりです。

問題は潜在的なニーズを表に出させる方法にあります。そのまま消費者に欲しいものを聞いても意味がなく、むしろ「ニーズを顕在化する」という方法が必要だからです。そのために、ザルトマンらは、イメージやメタファーを使った消費者の潜在意識調査を行っています。

それをZMET(Zaltman Meta-phor Elicitation Technique)とよび、写真や動画などのイメージマップ的なものを作成し、その繋がりから購買動機など探るわけです。図の例は「ハイブリッドカー」に関する調査例で作成されたイメージのマップであり、これは「コンセサス・マップ」と称して、消費者の潜在心理を探り出していくというわけです。