(その6) スランプの心理

■スランプの心理からわかる本番に弱い日本人の性格

なぜ日本人はプレッシャーに弱いかというと・・・
オリンピックなどでよくわかるように、日本人は肝心のところで能力を発揮できない弱さがあります。これは「注目されることに弱い」ことと関連しているようです。

自分だけが目立って表象などされると裏で妬まれのけ者にされかねないこと。これはアルバイトなど多数いるような企業ではとくに顕著なのです。そのため、誉められることにもプレッシャーとなり、逆効果となることもあるのです。こうしたら笑われるのではとか、失敗したら恥だとかいった「他者の承認」を必要以上に感じる傾向があるというわけです。これは自分に自信のないことを反面では示すものだともいえます。

意識調査などでも、他国の人と比べてとくに日本人の自己評価が低いことでもそのことが実証されています。例えば、それは欧米と中国の3カ国の中学生を調査した結果(02年河合和子)でも、「自己への積極的な評価」をしているかの質問への回答では、海外が8割以上なのに日本は4割程度というのです。とすると、「和をもって尊し」とする日本人気質が、悪い形で表に出たのが「他者の承認」に依存しがちな行動といえるでしょう。

■スランプの心理からわかる努力する割に報われない日本人の働き方

スランプに陥るのには運良く勝ってしまった・負けるはずのない相手に負けてしまったなどすると、スランプになる可能性があります。そのタイプには、成長過程に不可欠な「調和的体制型」と、疲労等の原因で起こる「疲労的限界型」があります。

これらは気づくのが困難ですが、運良く試合に勝つケースでは、いつもとは違うやり方をして勝ったイメージが印象に残り、それが固定化してフォームが変わるなどの問題が出るわけです。

ここではやり方の変更による「スキーマ」の歪みが問題となります。これは「調和的体制型」のスランプといえるもので、技能の成長過程で新しい自分の技能レベルと身体のそれがマッチしないために一時的に生じるものです。そのミスマッチは時間が解決するので無理をしないで基本にもどることが重要でしょう。

「疲労的限界型」のスランプに陥ると、練習をすればするほど、かえって成長のマイナスとなりうるので注意が必要です。そのまま続けると練習への集中力が欠けやる気もそがれることになりますが、素振りのようなことや仲間との合宿研修などが有効でしょう。