認知科学による動画マーケティング(11):未完成型コンテンツの魅力

未完成型コンテンツの魅力とユーザ参画モデル(CGM)

新しいコンテンツビジネスの特徴は初音ミクに代表されるように典型モデルがあるものの、創り手側が新たにカスタマイズしながら協同製作物に仕上げていくという特徴があります。それにより、コンテンツの内容は多面的になると同時に、フリーウェアなどのように共有されて拡がりを創り出しています。

その発展を支える条件としては、誰もがコンテンツの担い手として登場できる場がプラットフォームとして確立されていることです。WIKIやSNSメディアはそのプラットフォームの役割を果たしており、そこから発信される情報やコンテンツは「未完成」というソーシャル性を持たざるをえないわけです。

ここでいうマーケティングの「ソーシャル性」とは次のような特徴を持つものです。
1)素人がプロの世界に参画することができるビジネスプロセスが開かれる
2)協働の場がプラットフォームとして存在しビジネスの基盤となっていく
3)他者のリソースを活用しながら新たなものを創作できる編集的な力が重要となる
4)個としてのパーソナルな関係性がネット上ではとくに強い影響をもたらす
5)顧客と企業の力関係が逆転し、顧客情報を活用するレベルの高さがビジネスの勝敗を決定する。

■情報の「ストーリー性」の特徴

さらに、情報の「ストーリー性」とは次のような特徴を持つものです。

1)ストーリーは、バラバラなデータの集合ではなく、物語的な因果関係がそこにあってはじめて感動や納得をもたらす
2)ストーリーは、”語る”という表現の相互交流の場があってこそ意味が深まり口コミ効果を発揮する
3)ストーリーは、言語や文字に限られるものではなく、絵を含む記号全般に意味とイメージを与える
4)ストーリーは、表現するプロセスや語り手の存在をクローズアップし、パーソナルな関係性を要求する
5)ストーリーは、ビジネスに表現活動の場を与え、その効果がビジネスプロセス全体に及ぶようにする

3や4番目についてはキャラクターの役割が重要となってくる理由でもあります。多くのキャラクターはアニメ的な表現のものや動物などかわいい面を強調するものですが、販促・宣伝の際にはブランドイメージにプラスになるように
することが求められます。

キャラクターそのものがどんな形でコミュニケーションをしたいかをユーザ(消費者)に要求しているからです。かわいいクマの顔を描いていれば親しみやフランクな関係を表すでしょう。

ところが、リアルなクマの写真のようなものであれば力強さや権威を要求するようなものとなるはずです。そこにキャラクターのイメージ戦略があり、ストーリー展開を考慮するうえでも相手の要求にミスマッチとならないようにする必要があります。