リーダーシップの心理(1):任せる勇気編

(1)「任せる勇気」を削ぐ「失敗への不安」と「責任回避」

任せる勇気と失敗への不安はコインの裏表の関係にあります。任せた後やっぱり不安になって自分が事実上それをやってしまったり、やたらと口を挟んで当人をコントロールしようとすることなどやりがちではないでしょうか。

母親と子ども、上司と部下、先生と生徒、こうした上下関係のある社会的な活動においては失敗の責任を誰がとるかなど、「責任回避」という問題と関係してきます。上が責任をとれないなら部下に頼むことも避けなくてはならない場面もあるからです。

そうした責任を誰がどうとるかはドラッカーのマネジメント理論においても重要されていることです。ドラッカーはマネジメントにおける「責任」を、組織変革していく力とみなし、マネジメントする側がもっとも自覚すべきものとして問いかけます。

ドラッカーの論理はマネジメントが個人の能力や成長への見方を超えて、組織という単位で物事を考える視点を与えてくれます。これはマネジメント論と学習・発達論が不可分な関係としてみなす必要を問うものです。

ドラッカーのいうマネジメントは管理という以上に、組織の成長と個人の成長を対立から協働へ導く論理を持つ点に特徴があります。組織が変わるべき内容がマネジメントの役割と重なり、その役割を遂行するプロセスにおいて個々のメンバーがどう自己管理を達成し、組織に貢献していけるかを問うものだからです。

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