しぐさの心理を理解するには「実践と理論の統合」がカギ!

■心理を学ぶことの難しさとは?
心理学ほど身近な学問は他にありませんが、同時に誤解と偏見に満ちている学問でもあることです。たとえば、心理カウンセラー達との研究会などに出席すると、根拠のない右脳左脳説を持ち出して心の説明に使ったり、自分の心理を他者に当てはめたりといったことが頻繁にみられます。
そして、彼らは心の専門家のように思われているようですが、自分の心の病を直すのに独学的に勉強してきたような人も実際には多いのです。むしろ、ビジネスマンのような一般人の心理分析などする能力は「?」かもしれません。これはカウンセラーという職業の難しさというだけではなく、何か根本的な問題があると考えられるのです?

■「理論と実践の統合」がしぐさの理解に不可欠
それは何かといえば、「理論と実践の統合」を理解していないことだと考えます。つまり、心理学は本では勉強していても、それを現実の中で実践していくプロセスでどう検証し、新たな問題意識をもったりして深く理解していくのか。こうした実践的な学びのスタイルを確立していないということが問題なのではないでしょうか。
しぐさの心理を理解するとは、まさに日常の行動の細かな観察を通じて、自己と他者の違いを理解し、そこに働く心の作用を知ることが不可欠です。その意味でしぐさの心理は実践と理論の統合をめざすことが求められるのだと言えます。

■理論のベースとなる「本を読む」ということの意義
ところで、あなたはどのくらい年間の本代を使っているでしょうか?
3万くらいであれば読んでいる方ですが、ある全国調査での平均では1万5千円程度でした。一方で米国での大学生は10万円程度です。そして、日本の学生はというと・・・1万円という情けない話なのです。
本を読むことはとても大切だと誰でも思っているわけですが、その情報を処理する「量」が絶対的に不足している状態なのです。もちろんスマホやPCでの情報収集はしています。しかし、その種の情報は断片であって思考を育てるにはバラバラな素材に過ぎないものといえるのではないでしょうか。
本を読まない問題性は、情報を組み立てて自分なりの仮説を作り実践の中でそれを検証していくという思考の基盤が欠けてしまうことにあります。論理的な文章を読む認知プロセスは著者との“対話”でもあり、これは認知科学が過去50年の歴史で最も深く研究されてきた内容です。本を読むことを通じて自分との“対話力”もついてくるのですが、その機会をもっていないという問題なのです。