しぐさでわかる心理とは?(1)

■“しぐさ”(身振り行為)を知ることで何がわかるか?

怒り・悲しみ・苦痛の多い経験は、それにふさわしい身振り行為の“しぐさ”を生み出します。
たとえば、成功体験を繰り返すことで、やはり成功にふさわしいしぐさが少しずつ身についてきます。ここがしぐさを理解し自己の望む方向に変えることの重要な視点なのです。

誰でも子供の頃に親から貧乏揺すりは止めなさいと言われてことがありますね。本当に貧乏になるかどうかはわかりませんが、この戒めには心理学的な意味があります。
そもそも“しぐさ”とは、厳密に言えば「慣習化された個人特有の行為・行動パターン」のことです。それを自覚することは当人には難しいもので、以外に人から指摘されて気づくようなことも多いものなのです。

たとえば、失敗したときに、”頭をかく”といった行為は日本人特有らしく、海外ではみられません。欧米などでは”オーマイガッド!”と言いながら頭を抱えたり、手を頭上に掲げたりはよくしています。このような国民性のあるしぐさなどの研究は、心理面だけでなく文化歴史的な要因を考慮していくことも必要なのです。

同じ”頭をかく”にしても、作家がそれをするのはカッコーがつくのですが、政治家や経営者がすると”小物”に見えて信頼を失うかもしれませんね。
つまり、しぐさが問題なのは、同じ行為であってもその人の印象が風貌、役職やキャラ(性格)、状況によって良くも悪くも感じられたりするものだということです。

そこで、私はしぐさを自覚して”在りたい自分”にふさわしい行為・行動へとつなげるようなしぐさ改善メソッドを提唱しています。それは望ましいTPOに合わせたしぐさ選択であり、意味ある行動の学習でもあります。

面倒に思われるかもしれませんが、このしぐさに注目すると”無意識”の自分や他者の心理を理解することができるメリットがあります。
口では仕事で協力するよと言っていても、実のところでは逆にうまく騙して利用だけしてやろうといった本音が見えてきたりするのです。