(その2)メタ認知の考え方

■仕事のカイゼンをする認識の方法とは?

仕事のカイゼンをするうえで、どのようにそのプロセスを見直したり反省したりすればよいのでしょうか?
ここでは認知科学で知られる「メタ認知」の方法を紹介しておきます。これは “知識”と“活動”の二つの面に次のように区分できます。
③ 「メタ認知的知識」=自己と他者の思考や記憶、感情の認知プロセスの知識
④ 「メタ認知的活動」=自己の認知プロセスを上から見渡す認識の仕方やコントロール

つまり、自らの知識・記憶の使い方や働きをモニターして、必要な場面で略図やメモしたりする認知プロセスをどこまで自覚するが大事な点です。認知科学者の佐伯胖先生はこのことを「略図化」と「視点の移動」の2つの概念を使い教育界などに応用してきました。

メタ認知は具体的には、略図や他者の視点を自分の中に取り入れることがポイントになります。つまり、自己の認知の枠組み(認知モデル)の限界や制約条件をいかに知るか、それを意識化することが重要だといえるでしょう。

■仕事の役割分担の意味するもの

もう少し具体的な仕事の場面でメタ認知を考えてみましょう。
企画書をプロジェクトとして協力して提案する場合なら、作成は書くこととモニターの両方を一人がします。ですが、それでは単純に個別作業になってしまうわけです。
ネットによるプロジェクトなどが増えている現在では、とくに複数の能力の違った人が強みを活かす仕事の仕方が重要となってきています。

それは役割を形式的に二人で半分に分けて書くような分担ではありません。2人のそれぞれの強みを活かすことにならないからです。それよりも、まずAさんが全体のラフ案を作成し、それを図解など得意で緻密な作業が好きなBさんがモニター(校正)しながら図を挿入していく、といった認知的な分担をすることがメタ認知を促すことにもなるのです。

こういう分担の仕方を私は「認知的コラボレーション」と呼んでいるのですが、それは各自の異なる有能性を最大化する「1+1=3」の分担方式といえます。この役割の分担方法は、状況によって入れ替わることもできます。そして、その役割の交代が固定していた自己のやり方を相手の視点(他者)から見直す機会、つまりメタ認知の活動ともなるのです。

ここで注目したいのは、自分のやっていることを別の視点から振り返る場面がある点です。別