ストーリー心理を動画に活用する方法(5)

■キャラクターを擬人化モデルとして活用するメリット

心理学に「交流分析」という手法があり、人の性格や行動は固定されているものではなく、相手との関係・役割の中で変わるとする理論です。この理論は心理療法でもよく使われており、現実の生活を振り返れば、誰もが納得する点で説得力があります。たとえば、筆者の例では、教員としてゼミ学生らに就職の助言などしているとき分別くさいことを平気で語っています。

ところが、自宅に帰り家内に頼まれた掃除をしていないと子ども並みの言い訳をしている自分に気づくわけです。それは相手と自己の関係性の中で“適切”な自己の性格や行動を選択しているとみなせます。
これと同じことが顧客と企業のコミュニケーションでも起きるのです。

企業が自社サイトで顧客・ファンとの交流をしようとするときに、企業ブランドのイメージにふさわしいキャラクターを作成し、それに応じた語り方(書き方)や演出を考えるわけです。

伊藤ハムのネット上のキャラクター「ハム係長」が受けたのも、キャラクターの描写的な面白さ以外に、その語り方と無関係ではありませんでした。
※参考 伊藤ハムサイト https://ham.cocosq.jp/

ハム係長はリアルの社員の1人が担当しており次のようにメッセージをサイト上でしています。
「わたくし、ハム係長がコンシェルジュとなり、ぷふぅ~っε=(公 )と自信を持って選りすぐった、”お墨付きの美味しさ”をお届けするサイト。それが「ハム係長のセレクト・キッチン」です。さあ、ほっぺたがこぼれ落ちる美味しさをご賞味あれ。」

ときどき出張に行くと連絡は途絶えるが、人の悩みごとなどは真剣に聞いてくれるといったことです。キャラクターの絵のとおり、どこかノンビリムードなユーモラスな感じを出したムードの癒し系キャラクターがいると相談しやすいというわけです。